bespoke classic
六義
RIKUGHI
Art&ClassiC
「春嶺×鐘月 本繻子」
ステイード ゴールド
名作
★
60年代のカルトTV「The Avengers」のカラー化されたシリーズ初期でジョン・スティードが愛用していた渋い「ゴールドタイ」、独特の色合いだ。
ネイヴィー系のスーツに気品高く似合い、グレイ系のスーツにもジェントルマンらしい威厳と洒脱を与える。
何故か英国以外では見かけたことがない。
それどころか1980年代には英国でもついに見かけなくなった。リトルプリンスアーケイドにあったマニアックなタイ専門店「デボネア」でさえ繻子のタイは織ることができず在庫のみになっていた。
「もう織れない」と店主は悲し気に私に漏らした。
それ以来、ワタシは「ゴールドタイ」を探してきたが「似て非ざるもの」は何度も見かけたが「真実のゴールドタイ」には出会わなかった。
「ゴールドタイ」はマイテイである。写真の如く、チョークストライプ、ピンストライプ、ネイヴィー、グレイ、もちろんトープベージュ、ブラウンと何にでも合って、しかもかつての「大英帝国の紳士」そのものを映し出す。
「質」はいわずもがなの「世界一」。「春峯×鍾月」の絹でみっちりと織りあげた他を寄せつけない「唯一無二の繻子」。名人の手によるふんわりと仕上げられた文化遺産ともいうべき手づくり、手仕事の極。閂止めは六義紫。小剣が大振りの六義独自のますらおな型紙。
★
あれほど苦心賛嘆しても復元できなかった「40年前の繻子」がひとりの「天才」に出合うことによってあっけなく完成した。 しかも「40年前の繻子」より「質」が高い。ドウイウコト、、、人生はまさに出会いだなァ
織りあげたのは史上初のAAAAA,5Aを獲得した「東京農工業大学」謹製の春嶺と鐘月という日本原種の繭を掛けあわせたもの。この糸の突き抜けた「質」は先日、「R.H.研究ノート」にも記した、桑を粒子状にし掛け合わせの当初から人工飼料を使わず、いままでありえなかった「理想の生育環境で育てた繭」という日本国から研究補助を受けたプロジェクトで生まれた「最高の糸」である。
「仕立て」はもちろんもう一人の「天才」による完璧なる「手縫い」である。今回は閂止めをロイアルパープルにしてもらった。