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bespokeClassicHat015S「1930`s Black & White hat」
bespoke classic
六義
RIKUGHI
Art&ClassiC
「1930`s Black & White Hat」
”無帽な男”
★
多くの人が「帽子」について誤解している。
「帽子」には「実用のもの」と「社交のもの」がある、漁師や農民たちの生活道具としての帽子や狩猟や乗馬などで身を守るために必要な帽子に対して「都会の帽子」は社交のための「装い」の一部である。
かつて紳士は帽子と手袋(加えるならばウオーキングステッキ或いは英国ならば細巻きの傘)をもたずして外出もままならなかった。
無帽の男はまさしく「無謀」な輩として紳士とはみなされなかったのである。
私の記憶だと、からくも1980年代まではロンドンの街角やハイドパークでボウラーを誇らしげに被り細く巻いた傘を独特のリズムで地面に響かせて歩く紳士の姿に一日に数回は遭遇した。
それが90年代にはいると残念なことにボウラーはもはや社交行事以外に見ることも適わなくなった。
実にもったいないことだ、ボウラーほど英国人に似合う帽子はないと思うし、英国人も自分の国以外の人間がボウラーを被るのを心の底から「嫌悪」していると思う。
それからの「帽子の運命」は皆さんの知るところである。いまやまともな「紳士の帽子」など存在しない。
「帽子を被った方がハンサムで上品に見える」なら誰しもが帽子を躊躇なく被るだろう。しかし、帽子屋は単なる帽子市場のことしか考えていなくて、日本人の大きい顔に似合うクラウンやブリムの形状さえ発見できてはいない。
装い全体としてのバランスなど眼中にもない。
「都会の帽子」は装いに溶け込まなければならない。
さて、今回は1930年代に「羽のように軽い」と評判になった都会の帽子である、ハウンドツースを思わせるブラック&ホワイト。
実はこの帽子、帽子職人の倉庫の隅っこに忘れ去れていた1930年代の「紙(paper)」で編み上げられている。だから軽い、そして心地良いしなやかさ。
我が国でも紙を糸のようにして織る帯や紙子とよばれる紙の着物があるが、通気性がよくこのやわらかさは被り心地がとても良いだろう。
そして歴史的価値さえある19世紀のシルクのグログランで「おばあちゃん職人さん」がひと針、ひと針縫って仕上げたリボンは「傑作」だ、威厳がある。これだけで紳士の帽子としての品格がある。
銀座東京