bespoke classic
六義RIKUGHI
Art&ClassiC
唯一無二の青。
1950年代にパリのオートクチュールメゾンのために染め上げられた「
このひとつしか存在しない青色」。
私はずいぶん「青色」を蒐集してきたものだが、こんな鮮烈で豊かな「青」は唯このひとつである。この青を現出させるには想像を絶する「技」と手間がいる。
飛び飛びに鮮やかなコントラストで黄金の「アンテイークボタン」が精密に描かれているのもこの豪奢な青にふさわしい。
そしてどう見ても肌理の細かい上質の絹に見える、、、
しかしこれは「絹に勝るコットン」なのである。絹でなく綿で織りあげられている。
驚くべき繊細さ。
私はRED ROOMの生地の蒐集過程で、幾度かこの「絹に勝るコットン」というものに出会っている。(そのなかでも
この「青」は別格だ。)一般的にはこの贅沢な綿地の存在を知る人は稀だろう。
初めて「絹に勝るコットン」に出会ったのはたしか1978年の冬のリヨンだった。
当時のリヨンは美食の街であるとともにパリのオートクチュールを支える絹の都として名高かかった。
それはシャツ地でまさしく「シルク」にしか見えなかった。
触るとたしかにコットンだろうと思われたが、その頃の私は二十歳そこそこでまだ生地の奥深い知識は持っていなかった。
しかし、その「軽さ」に驚いた。しかも「緻密」に織り込まれている。これでシャツを仕立てればそれこそ「羽根のように軽い」シャツが出来上がると思った。しかも頑丈で上着の下でもたつかない。
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