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Mirai022S「 bespokeブリーフケース 浅葱色 蜥蜴 」
GoldenClassic
10Years after
みらい
no. 22
bespoke
ClassicBriefCase
「浅葱色 蜥蜴」
10周年に向けて「みらい」にアトリエの工芸の粋を尽くした傑作をひとつづつ残そうと思っています、
「鞄は実用」と考えるならば、ヨットの帆布で拵えられた「シーバッグ」がいちばん男にふさわしい。もちろん、ハンドルは本物の手編みのヨットロープであるべきだ。ごつく頑丈なその感触が都会でも旅行でも頼もしい。
「シーバーグ」ひとつに一切合財を放りこみ、サハラの砂漠まで出かけていったこともある。
しかし、タウンにおいてふさわしいのは「ブリーフケース」である。
これはいくらも荷物は入らない。
出自は外交官が「秘密文書」をしまい込み鍵をかけ後生大事に持ち運んだ「ドキュメントケース」である。つまり、これは「大事な書類」しか入らないように設計されている。
だから、書類以外のものを無理やり入れようとするとガマガエルの腹のように不格好に膨らんでしまう。
ホントは何もいれないで持ち歩くのがいちばん良いじゃないかと私は思っている。
何もいれないなら鞄とはいえないじゃないか、この「ブリーフケース」の機能は何だと問われれば、これは「見栄え」だと答えよう。
そう、これはタウンスーツを着込んだ姿をよりマッシヴに見せる最強の「アクセサリー」なのだ。
だから、これは持っていて本人が愉しく、周りをちょっと「オッ」とさせるものであるべきだ。
そういう意味では最も優雅な男の「アイテム」である。しかも、ちゃらちゃらとしたブレスレットなどをするより数段「知的」にみせ、女の子や世間からの評判も大変よろしい。それは請け合おう。たとえ、中身は入っていなくてもね。
「愉しいみらい」を創造していきましょう、
銀座東京
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極く私見であると断っておいて、「ブリーフケース」のイヤなところをあげると、先ず、仕切りが邪魔で書類以外のものが入らない。そして、使うほどに底のほうがたるみ始めるということである。(再び云うがコレは全く私見である。)
というわけで、もうブリーフケースはつくるまいと思っていたが、この浅葱色の蜥蜴と特製の金具に出会って考えが変わった。
大久保と話し合ってあえて「仕切り」はつくらず、底に特製の芯地を入れて「たるみ」を防ぎ、小銭、鍵、携帯電話、財布用にポケットを三つ内側につくることにした。
あとは、オプションでA4サイズがすっぽり入るクラッチとか、I-pad用のケースとかを思いつくまま「お揃いの蜥蜴」でつくっていけば使いやすさも、愉しさも増えていくだろう。ひとつづつ揃えた小物を並べて悦に入るのもさぞ愉しいだろう。愛用の万年筆入れとか、シューホーンだって揃えても良い。
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この浅葱色の蜥蜴を大久保がどうですか?と拡げたとき、おっ、良い色だなと思った。
こういう薄めの上品な緑はなかなか見ない。革の色出しというのは安定しにくいものなのだ。
「エキゾチックスキン(爬虫類などの皮をこう呼ぶ)」の魅力は、その贅沢な表情にある。とくにクロコやリザードの班の並ぶ様子は牛革にはない貴族性を持っており、ヨーロッパでもヴィクトリア時代から社交界の紳士の持ち物とされてきた。
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1960年代に、フィレンツエのグッチの本店で特別注文した我がブリーフケースである。
「ペッカリー」でもなく何とかという豚かいのししの仲間の革をつかっている。別に注文したアタッシュケースもこの革をすすめられた。内部はピッグスキンスエードが張られている。
(「アタッシュケース」も今度、機会があればご紹介しよう。これには別仕立てのサイクリング用のダブルサドルバッグ状のものを上からかぶせて使えるようになっていて、小旅行用の荷物もいれらる。勿論、アタッシュケース単体でも使えるように設計した。)
当時、グッチはセレブリテイーからの特別注文(besspoke)をフィレンツエ本店に限っては割と細かく受け付けていた。
多分、エルメスを意識していたんだろう。手袋ひとつ、時計ベルトひとつから相談にのってくれた。
1960年代〜70年代のグッチは花と植物を描いた 傑作」のスカーフを生み出すなど、
(何とかいうデザイナーだか、画家が描いて、いまもその復刻版が売られているはずだ。これもコレクションしているが素晴らしい色合いだ。)
現在の「チャライ」今風のデザインが売り物のグッチと姿勢が異なり、イタリアのエルメスとして肩をならべよう或いはそれ以上になろうする「工房(職人)」としての気迫があった。
だから、この時代のグッチの特別注文はクラフトとしてもレベルが高い。
この豚か、別の猪かの革はグッチ用に特別に鞣されたもので、モノグラム以外の高級ヴァージョンにも使われていた。(或いはモノグラムと組み合わされてつかわれていたと記憶している。)
多分、イタリア国内で鞣されたのだろうが、実用的な「傑作」だと思う。
非常に細かい毛孔をもち、それが独特の表情をだしている。使うとわかるがこの革は傷つきにくい。毛孔がバッファロー革などの「シボ」の役割を果たしていて、鞣しの質感も表面がなめらかで高級感があり、軽く頑丈だ。
このブリーフケースは70年代を過ぎるとあまり使う機会もなく、そのままに地下倉庫におかれていたが、ちゃんと「革は活きている」。
今回の「浅葱色」のブリーフケースはこれを基本にする。
余談だが、このダブルストラップというのは当時珍しかったんだよね。このアイデアのもとは飛行機のキャプテンがもってるパイロットケースをブリーフケースにしてみると面白いと思ったところから始まった。
とにかくみんなエルメスの「アタッシュ ド デペッシュ」だったから、へそ曲がりの私はそれ以外の、それ以上にエレガントなブリーフケースをつくろうと思ってコレを設計したんだけど、
後年、エルメスも「アタッシュ ド デペッシュ」の「別ヴァージョン」として面白いことにこのブリーフケースに似たダブルストラップを出してくるんだよね、、、