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goldenshoes005S「 GENUINE IMPERIAL RUSSIAN STAG ClassicStormWelt 」
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bespoke classic
六義RIKUGHI
Art&ClassiC
「私家版」
「IMPERIAL RUSSIAN STAG」
クラシックストームウエルト
しかも完璧なるホールカット
この「IMPERIAL RUSSIAN STAG」はアトリエ15周年を祝うものでただ一足しか制作しない。
サイズはヨーロッパサイズで「42」。完全なハンドメイド。そしてどこにも継ぎ目のない完璧な「ホールかっと」。サイズがあえば天の恵みといえる「ゴールデンシューズ」だ。
フィッテイングについては大久保が丁寧に相談にのるだろう。
以前、ウハプスブルグメイドの「クラシックストームウエルト」をご紹介したとき私は以下のように記したものだ。
『さて諸兄、
「雨の日の靴」にお困りになってはなかろうか?
とくに「その日」がちょっとした「畏まった都合」が控えていてトレーニングシューズや長靴で出かけるわけにもいかず、、、しかしだんだんと雨足が激しくなってくる窓の外をうらめしげにのぞいていたというご記憶は?
私は割に自由な生活をしているので長い間、雨の日は出かけないことにしていた(私は雨に溶けるというのは友人の間では有名な話だ)、それでも近年、性格が温厚のなったせいか40年近く前に誂えたニューヨークの「ヴォーゲル」というハンテイングブーツ専門店のバッフォローのブーツに足を入れ主にはヴィクトリアンのオリジナルパラゴン(傘)を携えて「溶けない」ように完全防備で出かけることもある。
雨の日に出かけることによって私は大きな発見をした。「ビブラムソール」である。
アメリカの西部では「ハンテイングクラブ」がロンドンでいう「ジェントルメンズクラブ」の代わりをなしているので、友人に誘われ獲物を追って森のなかを随分と散策した、だから私のバッフォローのブーツはザクザクと傷が入っている。
とくに「ヴォーゲル」のオリジナルスタイルは何故かつま先に「コバ」を張り出さないので、つま先が岩にぶつかれば傷がつき、森の木の根につまづけばその傷が残っていく。(前にコバがあるとコバが石や木にひっかかってつまづく恐れがあるからだそうだ。ナルホド)
「ハンター」たちはブーツの無数に残っていく傷など気にしない。
山を下りれば泥を丁寧に落とされ手厚くサドルソープで清められて蜜蝋のはいった良い匂いのするクリームで磨かれるが「傷」は傷のままだ。
そしてバッファローブーツの底には「ビブラムソール」が張ってある。
このビブラムソールが素晴らしい。約40年前のものだが、いっこうに「減る」気配をみせない。
一度も張り替えたことがない。しかも急な斜面、雨でぬれた岩肌を歩くときも滑らない。
雨の日でいちばん重要なことは「防水」だけでなく「滑らない」ということだ。
かつて大英帝国のスポーツシューズのひとつに「ストーム ウエルト」という防水性に優れた紳士の靴があった。
これはイタリアのノルベーゼ、ノルベージャンより強力で、頑丈な「登山靴」に使われていた。
「登山」は英国貴族にとって最も魅力的な「冒険」のひとつだった。
王室御用達をはじめマニアックな「登山具店」があった時代だ。
ただしこの「ストームウエルト」には力がいる、単純に技術だけでなく「腕力」も必要なのだ。
だから「ストーム ウエルト」には個体差があった、「腕力に優れ」、「巧い」職人でないと精緻には仕上げられない。
1950年代ぐらいまでの全盛期のマクスウエルには「エレガント」なストームウエルトの雨用の「タウンシューズ(カテゴリーとしてはスポーツシューズに入るが)」が用意されていた。
素材は「スタッグ」と呼ばれる「鹿」の一種で頑丈で(経年変化に強い。考えれば正倉院に残された革で当時のままなのは鹿革が多い。)雨に強く、手入れもブラシをかけるだけ、、、
(しかし、近年「スタッグ」の入手は困難で、1960年代前後に獲れたヴィンテージしか存在しないのが現実で、しかるに英国の靴屋でもスタッグを在庫している靴屋はもはやない。)
マクスウエルの「ストーム ウエルト」の作り方にはいくつかの「秘伝」があり、ストームウエルトにもかかわらずヴェヴェルドウエストのように土踏まずのところがグっと絞ってある。
そのおかげでアーチサポートが効いていて、かつ極めて「エレガント」に映える。
祖父がドーヴァーストリートにあったころの全盛期のマックスウエルに注文したパドックシューズやハンテイングシューズなどスポーツシューズの「エレガントさ」はこうした精緻なデイテイールと気遣いの積み重ねの結実なのだ。
この「クラシックストームウエルト」はアトリエ15周年の知恵と私自身の経験をつぎ込んでいる。
ちょっと他にはない「ラスト」と「仕立て」になっている。
先に述べたヴェヴェルドウエストのような絞りとアーチサポートをはじめ、
アキレス健でしっかりとつかまえる踵のつくりと足首にぴったりと沿う「足入れ」の具合の良さは「靴」として完成度が高い。
また「ボールジョイント」の許容性の幅の広さ、
トウの部分を反り返るように厚く、いわば「ブダペスト」型にしているのは、
私の親指の厚みが左右異なり、旅に出かけて異国の街の物珍しさについ半日近くも歩いてしまうとシューメーカによっては親指のうえの腹のところが擦れて赤くなってしまった経験に基づいている。
それ以来、私はビスポークシューズでも歩く時間数で「東京用」「旅行の移動用」など歩く時間数で区分している。東京にいるときのように自宅から東銀座、東銀座からアトリエという短い距離なら快適かつエレガント極まりない靴も、半日歩くと思わぬ支障がでるものがあることを私は半世紀にわたるビスポーク経験で知った。
このラストはそうした普通とは全く異なる基準値で設計、進化させているので意外にサイズ、ワイズの許容範囲が幅広いと感じるかもしれない。